「遺棄兵器」ではなく「接収兵器」だ。このたかりの実態に日本人は目を向けよ

10月30日  産経

遺棄化学兵器処理費 中国要求丸のみ巨額化
法外な森林伐採代償/プール付き宿舎


 中国に旧日本軍が遺棄したとされる化学兵器の廃棄処理問題で、中国側の要求を丸のみした結果、日本が拠出する処理費用が野放図に巨額化している実態が、内閣府の資料などからわかった。例えば施設建設に伴う森林伐採では、国際価格の数十倍という法外な代償を認め、要員宿舎はプール付きの豪華版としている。事業は今冬にも施設建設に入るが、費用の不透明性を残したまま見切り発車すれば、予算の垂れ流し、税金の無駄遣いにつながるのは必至だ。(長谷川周人)


 内閣府の予算関連資料によると、吉林省敦化市郊外のハルバ嶺で建設が予定される処理施設の「インフラ整備諸費」(共通施設分)に今年度、十八億五千万円近い予算が計上されている。

 避難路や要員宿舎の整備費用の一部に充当されるが、関係者によると、用地造成に伴う森林伐採で中国が要求した代償は「シラカバ一本百ドル」。しかし、シラカバは一般に製紙用以外に用途がなく「樹齢にもよるが二、三ドルが国際相場」(製紙業界関係者)とされ、日本は常識はずれの費用負担を強いられている。


 また、要員宿舎は「事業終了後の払い下げを見越し、地元当局から強い要望があった」(関係者)として、2LDKの豪華版で、プールなどのスポーツ施設が併設される予定だ。


 また、「環境関連諸費」(約千五百三十万円)の内訳をみると、「マクロ気象観測費」(約三百三十万円)と「ミクロ観測機器・機材整備費」(千二百万円)だが、気象観測といっても、中国軍の「気象専門員」が百葉箱を使い、気温や風向などを定時放送するというもの。日本側が「無意味に近い」と改善を要求したところ、中国側は「ならば地表温度なども計測しよう」と提案、新たな資材購入費として千二百万円を計上することになったという。


 このほか、中国はハルバ嶺に軍医療班を派遣しているが、絆創膏(ばんそうこう)一枚でも、日本人スタッフには「(解毒剤などが入った)段ボール三箱分の医薬品がセット売り」となる。しかも、なぜか産婦人科医を含む医師団は北京から送り込まれ、これら全経費が日本負担となっている。


 遺棄化学兵器の処理事業で、日本は今年度までに約九百七十億円を投入。処理方法を検討するなど準備を進めてきた。外務省によると、保管作業は昨年七月までに三万七千発分を終えた。

 今後は残る砲弾の回収と並行し、実処理を行う施設の建設に移るが、回収施設だけで九百七十三億円の建設費がかかることが判明している。このほか燃焼処理を行うメーンの前処理施設のほか、燃焼時に発生する汚染ガスの処理に環境対策費なども必要で、総事業費は「一兆円規模」との試算も出ている。


 しかし、遺棄砲弾数は二百万発と主張する中国は、その根拠すら示さず、情報開示を先送りしている。七十万発と主張してきた日本は独自調査に基づき三十万−四十万発と下方修正する方向だが、遺棄兵器の全容は見えていない。


 関係者からは「中国にとって処理事業は“金のなる木”。中国の機嫌ばかりを気遣う官僚の事なかれ主義を是正しなければ、いつまでも無駄な予算を垂れ流すことになる」と批判も出ている。

 なんとも酷いことである。官僚達の無責任さが膨大な国家の富を無駄に流失させている。ここで中国側の言う「遺棄兵器」というのは正確ではないだろう。実態は、「接収兵器」と言うべきものであり、60年もたって中国側が言いがかりを付けてきたということだ。「遺棄兵器」と「接収兵器」の違いを次の引用で確認したい。


国民新聞より引用

1.遺棄でなく接収
 辞書によれば、遺棄とは「すてること」「おきざりにすること」であり、接収とは「国家などが所有物を取り上げること」である。つまり遺棄は自分の意思で放棄するのに対し、接収は強制力によって取り上げることを意味する。


であれば、満洲にあった関東軍は、昭和20年8月9日に当時有効だった日ソ中立条約日ソ不可侵条約)を破って侵攻し、暴虐の限りを尽くしたソ連軍に降伏して武装解除されたのだから、日本軍は兵器を遺棄したのでなく、ソ連軍によつて接収されたというのが正しい事実である。

 ソ連国防省軍事図書出版部発行の公刊戦史『第二次世界戦争』は、対日戦果を、日本軍の死者8万3千人、捕虜60万9千人、捕獲兵器は火砲1565門、迫撃砲と擲弾筒2139個、戦車600輛、飛行機861機、軽機関銃9508挺、重機関銃2480挺、自動車2129輛、馬1万2984頭、各種倉庫769棟などと発表した。


 これらすべては関東軍が「遺棄」したものでなく、武装解除によつてソ連軍が「接収」したものである。またこのリストに含まれていないその他の武器、兵器工場、病院、研究施設、および上記倉庫に備蓄されていた莫大な食糧、被服、原料なども同じく接収された。


 その中に日本軍の毒ガスおよび毒ガス弾もあり、これもソ連軍に接収され、最終的に中国人民解放軍に引き継がれた。平成7年4月に批准された化学兵器禁止条約は、「1925年以降、いずれかの国が他の国の領域内に、その国の同意を得ないで、遺棄した化学兵器を遺棄化学兵器という」
                         (第二条六項)

 と定義し、これを根拠に中国東北地方の毒ガス弾処理は日本政府の義務と解されているが、以上の理由により、そもそも日本軍の遺棄兵器など中国に存在しない。


2.接収者に管理責任
 ソ連軍が接収した膨大な物資のうち、規格に合わない日本軍の武器弾薬、装備品、大半の備蓄物資などは毛沢東八路軍へ直接、あるいは蒋介石の国民党軍経由で、そして最後は、再開された国共内戦で共産側が勝利し中華人民共和国が建国されたことに伴って、その接収された全軍需品および施設は中国人民解放軍によって継承された。

 これが満洲をふくむ全中国の軍需品の最終処分の実態であった。にもかかわらず、戦後50年が経過した今日、中国はソ連から継承した旧日本軍の毒ガス弾の処分と被害の補償を求めてきている。


 しかし日本としては毒ガス弾をふくむ全ての兵器が接収されたものであり、中国はその接収物を継承したのだから、継承の瞬間から国際法上も管理責任は中国側にあり、日本側は責任をとることができないし、またとるべきでない。

 もしこの中国の論理を認めるならば、中国が継承したソ連の接収物資から発生するあらゆる被害に対し、日本政府は永劫の未来まで、責任を負わされることになる。現在、日本政府は中国にある毒ガス兵器の処理に協力しているが、あくまでこれは日本の好意によるものであることを明示しつつ進めるのが筋道である。


 ところが当時の村山富市首相と河野洋平外務大臣は、どこの国のものかを問わず、中国に存在するすべての毒ガスと毒ガス弾を日本が処理することを約束した。これは遺棄と接収との違いが判らぬ無能な政治家が先頭に立って、日本の国益を大きく損なった典型的な例であって、この愚行により日本の名誉は損なわれ、負うべからざる負担を長く負うことになった。

 なお戦時中、日本軍が毒ガス弾を装備していたことも非難されるいわれはない。当時、日本軍と対峙していた蒋介石・国民党軍は米英から、毛沢東共産党軍はソ連から供与された毒ガス弾を保持していたのだから、日本軍が対抗上、研究開発し、保持したのは当然のことである。

 遺棄と接収との違いも解らず中国側の言いなりになった村山内閣のなんと責任の大きいことか。無念と言うしかない。その意味では、何の注釈もなく「遺棄兵器」という言葉を平気で使用している我がマスコミ達にも猛省を促したい。これは、冒頭引用した産経も同じである。


 それにしても実態に合わない高額の処理費を言いなりにたかられている我が国当局者のなんと不甲斐ないことか。これには、利権が絡んだ政治家も暗躍していることを知らなければならない。その一端を次の引用で知ることができる。


国民新聞より引用

矢野哲朗参院議員 

化学兵器処理事業に食い込み

 平成14年11月、慶応大学で講演するため訪日を希望した台湾の李登輝前総統へのビザ発給を、事実上拒否した当時外務副大臣矢野哲朗参院議員(自民=写真右下)が、巨大ビジネスと化した化学兵器処理事業に食い込んでいる。


 福岡県苅田町苅田港で発見された旧日本軍の遺棄化学兵器の処理事業を巡り、昨年秋、矢野議員が防衛庁に対して処理技術選定をやり直すよう働き掛け、処理業者選定の一般競争入札を遅れさせていた。矢野議員は特定企業に有利な政治介入をしたとされる。

 なお同議員は親中派として、中国での化学兵器処理事業も狙っているという

 主権者として、我々国民の一人ひとりが真剣に監視の目を向けなければならないところにまでこの国は来ている。売国的政治家や官僚達を放置していては、この国は破滅に向かうしかない。国の護りは、その実態を知るところから始まる。



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