ロンドン滞在の胡錦濤主席に抗議の嵐

 「恥を知れ」と人権団体、法輪功チベット独立運動、民主活動家が結集

宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 平成17年(2005年)11月10日(木曜日) 
      通巻 第1292号 より抜粋転載

 欧州歴訪中の胡錦濤は最初の訪問国イギリスで抗議の嵐に見舞われている。日本のマスコミは殆どこの事態を無視している。

 バッキンガム宮殿前は抗議団体の人並みで埋まり、宮殿における歓迎行事とは対照を示した。「自由チベット」のTシャツを着込んで人々など夥しい抗議の波がつづいた。

 人権抑圧、法輪功への弾圧、チベット民衆弾圧の張本人、「恥を知れ」等の夥しいプラカード。
 しかしデモ隊は暴力に訴えず、秩序正しく、とくに一言も発しないで沈黙のデモをおこなうグループなど。しかしながらイギリスにおける胡訪問のニュースは抗議デモの扱いのほうが大きいのである。

 中国の狙いはEU議長国であるイギリスを慇懃に説得して、EU全体がきめた対中国武器輸出禁止を一日も早く解いてもらうこと。第二が貿易摩擦解消である。

 中国はドイツへ高速鉄道車両を発注し、さらにはエアバスを大量に発注して、EUの反中国感情を和らげることに躍起だった。

 ところが訪英直前にばれたのが、チェコと通じての武器技術輸入商談。EUの裏側から武器ビジネスに近づこうとしていた事実が暴露された。

 ついで中国国内でキリスト教の布教に当たっていたチームの責任者が懲役三年を言い渡され、EU諸国は激高。
同日、ホワイトハウス絵では訪中直前のブッシュ大統領が堂々とダライラマ猊下に面談した。

 中国が拘束したキリスト教活動家はチャイ・ゾウ・ファ(音訳不明)で、かれは北京でバイブルおよび宗教団体の資料をもっていたという「容疑」だけで拘束されていた(ワシントンタイムズ、11月9日付け)。
 「すでに十万人の法輪功活動家が拘束され、裁判もなく、そのうちの二万人が労働改造所(強制収容所)へ送られている、と人権擁護活動家として世界的に有名なハリー・ウー(呉弘達)が告発している」(同紙)。

 他国の人権問題には執拗に口を出すが自国のそれには全く知らん顔。厚顔無恥の典型だ。「恥を知れ」のプラカードが出たそうだが、我が国と違って「恥の文化」の伝統のない彼らにどれ程の効き目があるか。

 日本のマスコミは殆ど伝えない。その理由をマスコミは説明する責任がある。そういう偏った報道姿勢はやがて国民に見抜かれる。その時大新聞といえども凋落は免れない。マスコミ人ならその流れに気がつくべし。国民はいつまでも馬鹿ではない。

 伝統的にかの国は確かに海外メディアに対する情報操作が旨かった。しかし昨今、それに乗らないメディアも増えてきた。彼らの身勝手さに気づき始めたからだ。最大の武器を失ったとき、彼らは衰退に向かうのか。


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