アナン国連事務総長アジア歴訪延期

 歴訪延期は異例の事態と言うことらしいが、米国から国連改革を突きつけられ、予算成立が危ぶまれることになっては致し方ないことであろう。

(産経)

国連総長、異例のアジア歴訪延期 予算不成立の危機で

 国連のアナン事務総長は1日、4―16日に予定していた日本と中国、韓国、ベトナム訪問を延期すると各国政府に伝えた。国連が1日発表した。年内採択を目指している2006―07年の通常予算が米国の反対などで不成立の危機に陥っているためで、来週から本格化する予算交渉をめぐる加盟国の対立の深刻さが浮き彫りとなった。
(中略)

 国連は10月、既存事業踏襲を前提とする38億9000万ドル(約4689億円)の予算方針を提示したが、ボルトン国連大使が事務局のリストラなどを盛り込んだ内容でなければ認められないと主張。

 大使は、「3―4カ月の暫定予算」を組んだ上で、資金逼迫(ひっぱく)への不安をてこに事務局改革を論議するよう求める姿勢を示したため、改革に消極的な発展途上国が反発している。

 事務総長は9―12日に訪日、小泉純一郎首相らとの会談を予定していた。

 ボルトン国連大使が、腐敗にまみれた国連事務局改革を要求するのは当然の事である。
 アナン事務総長の長男コジョ氏をはじめとして、国連事務局の組織ぐるみの構造的汚職は国連始まって以来の不祥事とさえ言われている。「石油・食糧交換プログラム」絡みで国連高官らが多額のわいろを受け取っていたなどとされる疑惑についても、事務総長自身が関与したわけではないとして何ら責任をとろうとしないのも不信感を拡大する原因となっているらしい。

 日本が国連通常予算の分担比率の見直しを求めていることについても、アナン事務総長は歴訪前の日本人記者を前にして、「財政的貢献と安全保障理事会の問題に直接のつながりはない」とにべもなく述べている。

 これに対して安部官房長官は、「日本政府も直接関連づけて考えているわけではない」と説明したうえで、「国民の素直な気持ちとして、これだけ分担金を払っているのに、なぜ常任理事国ではないのかという思いがある」と述べ、更に分担金の負担比率について「我が国の負担は過大ではないか。加盟国の地位と責任が適切に配慮された、より公平かつ公正なものに改革されるよう分担率交渉に積極的に参画していく」と述べた。これは、日本国民の当然の気持ちを述べたものである。

 ちなみに我が国は19.5%を分担しているが、これは、米国の22%に次いで第2位の額になる。また、米国以外の4常任理事国、英国、フランス、ロシア、中国の合計は、15.3%にすぎない。

 予算成立の遅れで新年からの職員への給与支払い停止の事態に、国連活動の停滞で大きな影響を受ける発展途上国などが反発を強めていると言うことだが、これらの諸国には中国の影響を多分に受けている国が多いと聞く。
 特に国連人権委員会は、中国、キューバスーダンジンバブエなどの強権的独裁国家が名を連ねている。米国は、この人権委員会のメンバーは、「人権尊重の確固たる実績のある国に限定されるべきであり、深刻な人権侵害を行っている国は除外されるべきである」と強く主張しているが、これは我が国がとるべき態度と完全に一致する。その意味で、安部長官のコメントは米国と共同歩調をとる意味でも大いに歓迎されるところである。



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